それぞれのナンバー、それぞれの物語:NATIONAL MOTOSのための「55」
National Motosのマシンは、サーキットでとにかく目立っている。ルマン24時間レースで優勝した2006年以来、青と黄色に彩られたホンダのマシンには、「55」というナンバーがあしらわれている。
National Motosは、耐久選手権において、最古参のフランスのチームである。このチームは、1971年にパリ郊外でホンダディーラーを経営していたピポ・バルディ氏によって創設され、それ以来、National Motosは、2016年を除き、毎年フランスの2大レース(ルマン24時間レース、ボルドール)のうち少なくとも1つのレースに参戦し続けている。
ボランティアで構成されたこのチームは、1992年のルマン24時間レースにおいて、ガイ・ベルタン選手、アドリアン・モリージャス選手、アルノー・ド・プニエ選手(元MotoGPライダーのランディ・ド・プニエ選手の父)のトリオで表彰台の3位を獲得し、その名を知らしめた。当時のNational Motosは、ピポ氏のラッキーナンバーである「5」をよく使用していた。シーズンを重ねるごとにその速さは増し、トップ10の常連チームとなったNational Motosは、2005年にルマン24時間レースで4位、ボルドールでは5位に輝いた。
2006年、National Motosは、「5」を世界耐久選手権のフル参戦チームに譲ることとなったが、ルマン24時間レースのスタート時、青と黄色にカラーリングされたホンダマシンには「55」があしらわれ、フレデリック・プロター選手、オリビエ・フォー選手、ダニエル・リバルル選手のライダートリオと共に優勝に輝いた。
Honda National Motosは、2006年以降も「55」にこだわり、現在においてもFIM世界耐久選手権のフルシーズンを「55」と共に戦っている。
2012年末にピポ氏が亡くなった後も、息子のステファン氏とNational Motosのクルーは、若いライダーの育成をしつつ、ファクトリーチームに打ち勝つという1970年代の彼の意思を引き継ぎ、挑戦を続けている。
National Motosのディーラー店は最近50周年を迎え、3代目がショップを切り盛りしている。ステファン氏と異母兄弟のエリック氏がピポ氏の意思を継ぎ、ステファンの息子のリュック氏(20歳)とニコラ氏(23歳)もNational Motosに加わった。