ジョイントインタビュー:渡辺一樹選手x高橋裕紀選手
FIM EWC、および、全日本ロードレース選手権のチャンピオン候補である渡辺一樹選手と高橋裕紀選手が、全日本ロードレース選手権第1戦のもてぎで表彰台に上がった。
FIM世界耐久選手権へYoshimura SERT Motulから参戦する渡辺選手は、全日本ロードレース選手権では、JSB1000クラスのトップ選手でもある。
渡辺選手は、4月上旬、ツインリンクもてぎで行われた第1戦で、Yoshimura SERT MotulのスズキGSX-R1000Rを駆り、第1レースでは3位、第2レースでは2位とダブル表彰台を獲得し、素晴らしいスタートを切った。
また、新設されたST1000クラスの2020年チャンピオンであるF.C.C. TSR Honda Franceの高橋裕紀選手は、エンジントラブルのためにピットレーンからのスタートだったにもかかわらず、Honda DreamのCBR1000RRに乗り、もてぎのST1000クラスで見事に勝利を収めた。
次の全日本ロードレース選手権JSB1000は、4月24日と25日に鈴鹿で開催される予定だ。
今回、2人の日本人ライダーが、耐久レースとスプリントレースについて、見解を語ってくれた。
Q:FIM世界耐久選手権のレースに向けて、どのようなことを考えていますか?
渡辺選手:僕は子供の頃から鈴鹿8耐の大ファンでしたし、Yoshimuraは、日本のレースの歴史の中で常に大きな役割を果たしてきたチームなので、そのチームから選手権に参加できることをとても誇りに思っています。
高橋選手:3月の走行テストでは、順調に作業が進んだので、レースに向けて非常に良い感触を得られました。レースウィークでには、まだいくつか調整しなければならないこともありますが。レースが延期になったのは残念ですね。
Q:ルマン24時間レースに向けて、期待や不安などはありますか?
渡辺選手:僕がこれまでに経験したレースの中で、鈴鹿8耐が最も長いレースで、肉体的にも精神的にもとても過酷なレースなんですけど、1つのレースでその鈴鹿8耐の3回分も走るライダー達がいるなんて、まだ信じられませんね。まずはレースの感覚をつかむことが大切だと思っています。楽しみにしていますよ。
高橋選手:ルマン24時間レースは、僕にとって、初めての24時間レースですが、僕たちのチームは勝てる可能性のあるチームなので、優勝を目指して走りたいと思っています。正直なところ、24時間という長丁場のレースに耐えられるかどうか、不安がないわけではないですが。
Q:全日本選手権への参加は、耐久レースへのメリットになりますか?
渡辺選手:レースでは、時間や距離に関係なく、スピードが肝心ですからね。だから、僕たちのマシン開発は、常に、いかにして速いラップタイムを出すかということに重点を置いていますね。全日本選手権では、他のライバルたちと比較することによって、自分のいいところや弱点を知ることができますね。しかし、スプリントレース用に開発されたバイクは、耐久レースには向きません。2つのレースでのマシンの性格は、全然違うので、耐久レース仕様のマシンは、スプリントレース仕様のように、限界のパフォーマンスを使用しながら速く走るものではなく、乗り心地の良いマシンを常に念頭において、開発を行っていますね。
高橋選手:移動が大変なこともありますけど、2つの選手権に参加するということは利点だと思っています。日本でスプリントの走り込みをして、その経験をEWCで新しいバイクに引き継ぐというのはとても有効だと思いますよ。
Q:耐久レースへの取り組みも、全日本選手権で役に立ちますか?
渡辺選手:ルマンでグレッグ・ブラック選手と一緒に第1回目のテストを行いました。その時、彼がどのように感じているのか、どのようにバイクに乗っているのかを知ることができたのは、とても良かったことでしたし、重要なことでした。今は、全日本選手権レースを含めた開発段階の中で、他のライダーがより良い感覚でマシンに乗れるように、自分のライディングスタイルを調整しているんです。
高橋選手:耐久レースで膨大な時間をバイクに費やすことで、スプリントレースでの技術も高めることができますし、新型CBRについても、もっと知ることができます。
Q:FIM EWCに他の日本人ライダーを呼び込むには?
渡辺選手:鈴鹿8耐を知っている日本人のライダーにとって、FIM EWCはすでに魅力的な選手権なんですよ。日本人ライダーがEWC参戦チームとつながる機会が増えれば、多くの日本人ライダーがこの選手権で戦いたいと思うでしょうね。
高橋選手:そうですね。まずは僕たちがEWCで良い成績を残すことが重要だと思っています。そうすれば、日本人ライダーの可能性やチャンスを広げることにつながると思うので。僕の存在が、EWCに参加する日本人ライダーの数を増やすきっかけになればいいですね。