スズキの新体制 YOSHIMURA SERT MOTULが栄冠を獲得
初シーズンで、初ワールドタイトル
Suzuki Endurance Racing TeamとYoshimuraの日仏チームによる新体制は、素晴らしいシーズンを過ごし、FIM世界耐久選手権に見事な参入を果たした。2021年のチャンピオンへ賛辞を贈る。
彼らの2021年シーズンは、ルマン24時間レースでの勝利で始まった。鈴鹿8耐で4勝し、同程度の表彰台を獲得したことのある日本の耐久レーススペシャリストことYoshimuraと、FIM世界耐久選手権で16度の世界タイトルを獲得しているSuzuki Endurance Racing Teamとの新しいパートナーシップをスタートさせるのに、これ以上の方法はない。
昨秋、2019-2020年の世界チャンピオンであるSuzuki Endurance Racing Teamは、新チーム、Yoshimura SERT Motulの立ち上げを発表した。ルマン24時間レースでの優勝、エストリル12時間レースでのトラブルを経て、Yoshimura SERT Motulは、強く復活し、ボルドールでの優勝を果たした。
首位でモスト6時間レースを迎えたYoshimura SERT Motulだが、世界タイトルへの唯一のライバルチーム、VRD Igol Experiencesに打ち勝つには、ミスのないレース展開が必要だった。そして、Yoshimura SERT Motulは、モストで3位を獲得し、2021年FIM EWCのタイトルを獲得した。
チーム一丸となって
GSX-R1000R #1のシートに座ったグレッグ・ブラック選手、ザビエル・シメオン選手、シルバン・ギュントーリ選手の3人は、タイトルと表彰台を獲得するために全神経を集中して戦った。唯一、転倒を喫しそうになったザビエル選手だったが、すばらしいマシンコントロールテクニックを見せ、最悪の事態から逃れることができた。
「レース中、オイルに乗ってしまい、やばい!と思う瞬間があったんだ。」とザビエル選手は言う。「チームがタイトルを獲得するためには、転倒は絶対にしてはならなかったからね、もうダメか!と思ったけど、奇跡的に持ち直すことができて、転倒を免れたんだ。第2戦のエストリルで獲得できなかったポイントを取り返さなければならなかったボルドールに比べれば、プレッシャーは少なかったけど、モストでは慎重に確実なレースを展開することがことができたから、すごい努力を積み重ねてきたチームのみんなに無事タイトルをもたらすことができて良かったよ。」
グレッグ選手は、スズキファクトリーチームで2年連続の世界チャンピオンを獲得した。
「耐久レース界において、SERTは常にトップチームだった。」と彼は言う。「そして、今回のYoshimuraとの提携により、信じられないほどに素晴らしいバイクを手に入れることができた。チームもYoshimuraもとても努力をしてきてくれたし、そのバイクに乗れることは僕たちにとっても喜びなんだ。また、チームは、いつもすばらしいレース戦略を作ってきてくれた。これも重要なことなんだよ。だって、チャンピオンシップを制するのは、いつも最も速いチームとは限らないからね。だから、Yoshimuraと新しいチームメイト2人と一緒に仕事ができたことをとても嬉しく思っているんだ。」
夢のようなシーズン
ヨシムラから鈴鹿8耐に幾度も出場し、2010年にはSERTから参戦したドーハ8耐で優勝した経験を持つシルヴァン選手だが、今シーズン、初めてFIM世界耐久選手権へのフル参戦を果たした。2014年のスーパーバイク世界チャンピオンは、自身の耐久レース史に新たな世界タイトルを加えた。「このシーズンは全てが予定通りに進んでいくという、耐久選手権としては夢のようなシーズンだったよ。」とシルヴァン選手は語る。「最高だったのは、ルマンとボルドールという2つの24時間耐久レースで勝ったことだね。いずれもいつかは勝ちたいと夢見ていたレースだからね。だから、Yoshimura SERT Motulのライダーになりたかったんだ。スタッフみんなにとってこのタイトル獲得は、いろいろな苦労が報われた素晴らしい結果なんだ。最終戦モストには表彰台に登ることとチャンピオンシップタイトルの獲得を目標に乗り込んできたので、ミッションは果たせたね!」
また、YoshimuraとSERTによるこの日仏同盟の使命の一つである世界タイトルの獲得は、初シーズンで早くも完遂した。Yoshimura SERT Motulの加藤陽平チームディレクターは、この成功の重要性を認識している。
「Yoshimura SERT Motuとして臨んだ初年度にタイトル獲得を果たせて、とても嬉しく、誇りに思っているよ。スズキのファクトリーチームとして耐久選手権を戦うことに大きな覚悟をもって臨んだのだけど、結果として、世界で最も有名な24時間レースのルマンとボルドールで優勝するいう夢が叶ったシーズンとなった。今回は、新生チームとしては初の、スズキにとっては20回目となるタイトルなんだ。スズキGSX-R1000Rをさらに良いマシンへと進化させるべく、スズキとYoshimuraとSERTは互いにリスペクトしながら共に働き、ワンフォーオール・オールフォーワンの精神で進んでいきたいと思っているよ。この結果は、私たちの努力の継続を後押しする最高のものだと思います。初年度の結果としてタイトル獲得は、関係者のみんな全員に対しての最高のプレゼントになったよ。」
成功した引き継ぎ
Yoshimura SERT Motulのダミアン・ソルニエ監督にとって、2年連続のタイトル獲得は、ドミニク・メリアン氏が創設したチームの監督としての引き継ぎが成功したことを意味している。昨年、Suzuki Endurance Racing Teamを率いて世界チャンピオン獲得後、Yoshimura SERT Motulで再び成功を収めてみせた。この新たなシーズンは、チャンピオンとモスト6時間レース表彰台獲得という形で幕を閉じた。「タイトル獲得のためにここモストに来て、同時に表彰台も獲得できれば言うことはないと思っていたんだ。」と彼は語る。「チャンピオン争いしたVRD IGOL EXPERIENCESが完走できなかったのはライバルながら残念だったけど、ゴールラインでは歓びと感動、そしてYoshimuraに対して大きな感謝の念でいっぱいになったよ。ヨシムラとの協力関係により素晴らしい仕事を成し遂げることができ、このチームをとても誇りに思っているよ。バイクとタイヤ、そしてライダーのバランスがとても素晴らしくて、リスクは最小限に、それでいてチャンスはしっかりとものにしていけるという体制になっているから、ミスさえなければチャンスをものにできるという確信はあったんだ。前監督のドミニク・メリアンは、信頼をもってSERTチームを私に託してくれた。新生チームの監督として、タイトルを獲得できたことを本当に嬉しく思っているよ。」