スパEWC予選レポート:ハニカ、スパ超高速サーキットで快進撃

2022-06-05T08:28:47+02:002022年6月3日|2022|

2001年以降、スパ・フランコルシャン・サーキットで初開催されているFIM世界耐久選手権で、YART-Yamaha Official Team EWCが2戦連続のポールポジションを獲得し、カレル・ハニカ選手が圧倒的な速さを見せつけ、ポールポジションを獲得した。

チェコ人ライダーのカレル選手は、ブリヂストンタイヤを装着する装着のヤマハ YZF-R1で、唯一2分19秒台の壁を破る素晴らしい走りを見せ、ナタリー・マイレー・チャレンジ・トロフィーを受賞した。カレル選手は、明日6月4日(土)13:00(中央ヨーロッパ夏時間、以下CEST)から始まるリエージュ24時間の精神を継承したスパ24時間EWCレースに、チームメイトのドイツ人ライダー、マービン・フリッツ選手とイタリア人ライダー、ニッコロ・カネパ選手とともに出走するため、その準備を進めているだ。

2022シーズンから、EWCの予選選考は、従来の3人のライダーの平均タイムではなく、各チームの最速ライダー2人の平均タイムで競われる新ルールになっている。これにより、 Motorrad World Endurance Team(ジェレミー・ガルノニ選手、イルヤ・ミハルチク選手、マーカス・ライターバーガー選手)は2位、Yoshimura SERT Motulは3位で、明日の決勝レースのスタートを迎える。
スズキマシンを駆るYoshimura SERT Motulは、地元出身のザビエル・シメオン選手とグレッグ・ブラック選手、シルバン・ギュントーリ選手らとともに、準備を進めている。

ダンロップ・スーパーストック・トロフィーでは、イタリア人ライダーのケビン・マンフレディ選手がトップタイムをマークし、チームメイトのイギリス人ライダーのダニー・ウェッブ選手とポーランド人ライダーのマレク・シュコペック選手と共に、ポーランドチームのWójcik Racing Teamをポールポジションに導いた。ベルギー人のロリス・クレッソン選手を擁するBMRT 3D Maxxess Neversは2位を獲得し、National Motos Hondaがそれに続いた。

熾烈だったポールポジション争い
Yoshimura SERT Motulのグレッグ・ブラック選手は、この6.985kmの伝説的なコースで行われる4つのライダーグループのうち、最初に行われたブルーライダーグループ予選でトップタイムを叩き出し、そのの意気込みを感じさせた。イギリス生まれのフランス人ライダー、グレッグ・ブラック選手は、2分19秒368を記録。ドイツ人ライダーのマーカス・ライターバーガー選手(BMW Motorrad World Endurance Team)に0.017秒差をつけてトップにたった。3位にはYART – Yamaha Official Team EWCのニッコロ・カネパ選手が入り、ジョシュ・フック選手(F.C.C. TSR Honda France)、アラン・テッカー選手(Tati Team Beringer Racing)がそれに続いた。シャビ・フォレス選手(ERC Endurance-Ducati)が6番手、ランディ・ド・プニエ選手(Webike SRC Kawasaki France)が7番手となった。ドミニク・ビンコン選手(Team LRP Poland)、フロリアン・アルト選手(Viltaïs Racing Igol)、ダンロップ・スーパーストック・トロフィーの有力優勝候補のヨハン・ニゴン選手(Team LH Racing)がトップ10にその名を連ねた。

イエローライダーでは、YARTのドイツ人エース、マービン・フリッツ選手が2分19秒826でトップに立ち、ウクライナ人ライダーのイルヤ・ミハルチク選手(BMW Motorrad World Endurance Team)が0秒195差で2番手、地元の英雄ザビエル・シメオン選手が2分20秒321で3番手となった。ジノ・レイ選手(F.C.C. TSR Honda France)は、出走に出遅れ、4位となった。グレゴリー・ルブラン選手(Tati Team Beringer Racing)とエティエンヌ・マッソン選手(Webike SRC Kawasaki France)が、それがそれに続き、エルワン・ニゴン選手(Viltaïs Racing Igol)は7位に位置づける。Team LRP Polandのニューフェイス、ペピン・ビステルボッシュ(Team LRP Poland)は、クラウディオ・コルティ選手(Team Moto Ain)と最初のライダー集団でクラッシュしたダン・リンフット選手のチームメイトのシェリダン・モライス選手(Wójcik Racing Team EWC 77)を抑え、8位に陣取った。ダンロップ・スーパーストック・トロフィーでは、ベルギー人ライダーのロリス・クレッソン選手(BMRT 3D Maxxess Nevers)がトップとなった。

レッドライダーは2度の赤旗中断があったが、YARTのカレル・ハニカ選手が2分18秒845のトップタイムを出し、セッションを終えた。Yoshimura SERT Motulのシルバン・ギュントーリ選手が1.572秒差、マイク・ディ・メリオ選手(F.C.C. TSR Honda France)が転倒しながらも3位となった。それにフロリアン・マリノ選手(Webike SRC Kawasaki France)とジェレミー・ガルノニ選手(BMW Motorrad World Endurance Team)が続き、EWCデビュー戦のチャズ・デイビス選手は6位となった。Viltaïs Racing Igolの南アフリカ人ライダー、スティーブン・オデンダール選手が7番手、ロイック・アーベル選手(Tati Team Beringer Racing)、ダンロップ・スーパーストック・トロフィーに参戦するWójcik Racing Team STK 777のイギリス人ライダー、ダニー・ウェッブ選手(Dunlop Superstock Trophy)が続いた。グリーンライダー勢では、Yoshimura SERT Motilのクリスチャン・イドン選手が2分21秒864を記録し、最速となった。

公式予選第1日目:カレル選手、遅れをとっても、EWCの順位をトップで通過
予選1回目では、YART – Yamaha Official Team EWCのカレル・ハニカ選手がトップに立った。カレル選手はレッドライダーでフロリアン・マリノ選手(Webike SRC Kawasaki France)に先行されたが、最終ラップに0.492秒の差をつけて4グループ中第3グループでトップに躍り出た。

このカレル選手が記録した2分20秒253は、先に行われたブルーライダーとイエローライダーのセッションで、ジョシュ・フック選手とイルヤ・ミハルチク選手が記録した最速タイムを上回るもので、EWC開幕戦のルマン24時間レースで予選ラップレコードを更新し、ポールポジションを獲得した好調さを今回の予選でも引き継いで見せた。

BMW Motorrad World Endurance Teamのマーカス・ライターバーガー選手は、ブルーライダーの中で序盤からペースを上げ、途中、順位を落としたものの、終盤で再びペースを上げ、ジョシュ・フック選手を抑えてトップに返り咲いた。しかし、彼のベストラップの2分19秒910というタイムは、コースの限界タイムを超えていると判断され、記録から抹消された。その結果、ジョシュ選手が2分20秒411で、Yoshimura SERT Motul’のグレッグ・ブラック選手、YART – Yamaha Official Team EWCのニッコロ・カネパ選手を抑えてトップタイムを獲得した。続いてランディ・ド・プニエ選手(Webike SRC Kawasaki France)、シャビ・フォレス選手(ERC Endurance-Ducati)が続いた。ダンロップ・スーパーストック・トロフィーでは、ヒューゴ・クレア選手(Team 18 Sapeurs Pompiers CMS Motostore)がトップ、セバスチャン・スエット選手(National Motos Honda)が2位となった。

マーカス選手がブルーライダーセッションでペナルティを受けた形となったが、BMW M1000RR#37を駆るイルヤ・ミハルチク選手は問題なく、2分20秒388でイエローライダーの中で最速を記録した。F.C.C. TSR Honda Franceの2022年の新鋭ライダー、ジノ・レイ選手がマービン・フリッツ選手(YART – Yamaha Official Team EWC)、地元のヒーロー、ザビエル・シメオン選手(Yoshimura SERT Motul)を抑え2番手のタイムを記録した。グレゴリー・ルブラン選手(Tati Team Beringer Racing)は5番手、エティエンヌ・マッソン選手(Webike SRC Kawasaki France)は6番手となった。ケビン・マンフレディ選手(Wójcik Racing Team STK 777)は、ベルギー人ライダーのロリス・クレッソン選手(BMRT 3D Maxxess Nevers)を抑え、ダンロップ・スーパー・ストックトロフィー出場選手の中で最速タイムを記録した。このセッションでは、3ART Best of Bike Yamahaのマルタン・ルノーダン選手がクラッシュし、コースサイドの安全バリアの修復のために赤旗が振られたものの、本人にはケガはなかった。

カレル選手とフロリアン選手に続き、ジェレミー・ガルノニ選手(BMW Motorrad World Endurance Team)が3番手、シルバン・ギュントーリ選手(Yoshimura SERT Motul)、チャズ・デイビス選手(ERC Endurance-Ducati) 、マイク・ディ・メリオ選手(F.C.C. TSR Honda France)の順でレッドライダーセッションは進んだ。Team Moto Ainのコランタン・ペロラリ選手は、Wójcik Racing Teamとの混戦を制し、7位を獲得。マチュー・ギネス選手は、フォーミュラEWC仕様のヤマハマシンでクラッシュしたが、ダンロップ・スーパーストック・トロフィーでは、ダニー・ウェッブ選手がケビン・カリア選手(Team 33 Louit April Moto)とRAC 41 ChromeBurnerのクリス・リーシュ選手を抜いてトップとなった。

Yoshimura SERT Motulのクリスチャン・イドン選手は、2分21秒774のベストタイムを記録し、グリーンライダーセッションのリザーブライダーバトルを制した。3番手にはケニー・フォレイ選手(BMW Motorrad World Endurance Team)、4番手にはYART – Yamaha Official Team EWCのロビン・ムルハウザー選手、5番手にはダンロップ・スーパーストック・トロフィーを争うバリント・コバックス選手(Wójcik Racing Team STK 777)が入った。

DISCOVERY SPORTS EVENTSとスパ・フランコルシャン・サーキットがナタリー・メレ・チャレンジを発表
第1回スパ24時間EWCレースを記念して、Discovery Sports Eventsとスパ・フランコルシャンサーキットは、昨年命を落とした元サーキットマネージャーのナタリー・メイレ氏への追悼企画を発表した。ナタリー・メイレ・チャレンジは、FIM世界耐久選手権の第2ラウンドの予選でベストラップを記録したライダーに毎年贈られる特別なトロフィーという形で創設された。Discovery Sports Events責任者、フランソワ・リベイロ氏は、次のように述べている。
「このトロフィーは、このレース開催に尽力した故ナタリー・マイレ氏の果たした功績を称えるため、創設されました。
彼女の構想があったからこそ、最初の話し合いが持たれ、結果的に今日に至っているのです。」
スパ・フランコルシャン・サーキット、マネージングディレクター、アマウリー・ベルトロメ氏は、次のように述べている。
「今週末に開催されるスパ24時間EWCレースは、私の前任者であるナタリー・メイレ氏の呼びかけで2016年5月にスタートした活動の集大成と言えます。
このトロフィーは、勝利への揺るぎない欲求と、私たちに共通するサーキットへの情熱に突き動かされていた彼女の人柄を、見事に反映していると思います。」

ライダーのコメント
カレル・ハニカ選手、フォーミュラEWCクラス(YART – Yamaha Official Team EWC):「チームが最高のマシンを用意してくれて、チームメイトが僕の先導をしてくれて、コースの状況を教えてくれたから、完璧なラップができたよ。僕自身はとにかくクリアなラップを探していて、最後の数分間でそれを達成することができたんだ。ミスをしないよう、自分のラインをキープすることに集中したんだ。マシンは絶好調だったよ。さらにコンマ1秒か2秒縮めることもできたかもしれないけど、予選では常に限界に挑戦していることは確かなんだ。そういうときこそ100パーセントの力を発揮して、自分のできる限りのことをすることが大切なんだ。もちろん、レースでは勝つことが最大の目標だけどね。前回のルマンで問題だった点を改善するためにチームは必死に作業してくれていたからね。今はきちんと直っていると信じているよ。スパは素晴らしいサーキットだし、とても楽しいんだ。チームメイトとマシンを共有して戦えるのも素晴らしいよね。チームが素晴らしい仕事をしてくれたおかげで、またポールポジションを獲得することができたから、とてもうれしいよ。」

ケビン・マンフレディ選手、ダンロップ・スーパーストック・トロフィー(Wójcik Racing Team STK 777):「怪我のもう大丈夫。ルマンでは少し体に痛みがあったけど、今は大丈夫。ダニー(・ウェッブ)には、バイクのこともコースのこともたくさん助けてもらった。彼は、クラシック・バイクレースでこのコースのことを熟知していたから、それが僕のトップタイムにつながったんだ。それでも、まだ限界だと思っていないんだ。僕は2つのコーナーでもっと責められると思っているし、もしかしたらもう少し速く走れたかもしれないな。今はただ、決勝でチームのために最高の結果を出したいと思っているけど、どのチームにとっても新しいレースだし、何が起こるかわからないからね。これが最大のチャレンジになるだろうね。」

ベストラップ
予選第1回目 ブルーライダー:ジョシュ・フック選手、2分20秒411
予選第1回目 イエローライダー:イルヤ・ミハルチク選手、2分20秒388
予選第1回目 レッドライダー:カレル・ハニカ選手、2分20秒253
予選第1回目 グリーンライダー :クリスチャン・イドン選手、2分21秒774

予選第2回目 ブルーライダー:グレッグ・ブラック選手、2分19秒368
予選第2回目 イエローライダー:マービン・フリッツ選手、2分19秒826
予選第2回目 レッドライダー:カレル・ハニカ選手、2分18秒845
予選第2回目 グリーンライダー:クリスチャン・イドン選手、2分21秒864

予選総合順位は、ここをクリック。

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2022年FIM耐久世界選手権の第2戦、スパ24時間EWCレースは6月4日(土)13:00(中央ヨーロッパ夏時間、以下CEST、日本時間:同日20:00)にスタートする。
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