フィリップ・シュタインマイヤー選手へのEWCインタビュー
フィリップ・スタインマイヤー選手は、先週スペインに渡り、Team 18 Sapeurs Pompiers CMS Motostoreが獲得した2022年FIM耐久ワールドカップタイトルの防衛に向け、準備を開始した。
ダンロップタイヤ装着のヤマハマシンを使用するこのフランスのチームは、次のEWCシーズンに向けて2人のライダーを新たに採用した。そして、フィリップ・スタインマイヤー選手は、2023年にさらなる飛躍を遂げることを信じている。
先週金曜日、アルカラス・サーキットで行われたテストの合間に行われたインタビューで、オーストリア人ライダーのスタインマイヤー選手(29歳)は、このように語った。
Q:今日、あなたはどこにいて、何をしている?
「今年最初のテストのために、チームと一緒にアルカラスにいるんだ。天気はいいんだけど、すごく寒いよ。午前11時にスタートしたんだけど、それまでは気温が0度とか1度だったからね。僕はこのチームのマシンのことをよく知っているけど、新しいチームメイト達は、去年のマシンのことを知らないからね。問題ないことを確認するために、ここにある2台のバイクで何周か走ってみたんだ。」
Q:今年の新しいチームメイト、エンゾ・デ・ラ・ベガ選手とアクセル・モーリン選手についてですが、彼らはTeam 18 Sapeurs Pompiers CMS Motostoreに良い影響を与えてくれる?
「エンツォのことはまだよく知らないけど、彼は、昨シーズンのスパで優勝しているのから、きっともっと速くなると思うよ。アクセルについても、速いってことは知っているから、競争力は問題ないと思っているんだ。」
Q:バイクやチームの仕組みを知っているあなたがまだ在籍しているということは、新しいチームメイトに多くの情報を与えることができる、というメリットがあるのでは?
「もちろん、それはいいことだし、そういう事があるから、今朝のテストでも、すべてがうまくいって、これからちゃんとスタートできることを再確認してきたんだ。」
Q:昨シーズン、一緒にワールドカップを制したヒューゴ・クレア選手とバティスト・ギテ選手がチームを離れ、2023年からTATI Team Beringer RacingでフォーミュラEWCにステップアップすると知ったとき、どのような気持ちだった?
「それは難しい質問だね。彼らのことは本当に好きだし、FIMエンデュランス・ワールドカップで優勝したいいシーズンだっただけに、離脱は残念だった。でも、決定権は彼ら側にあるからね。ずっと連絡を取り合っていたから、僕は彼らのプランを聞いていたんだ。11月にフランスを訪れた時に、『テストを行い、フォーミュラEWCへのステップアップを考えている。』と、個人的に話してくれたんだ。でも、それはそれとして、アクセルとエンツォもいい人そうだし、チームとしてもいい選択だったと思う。」
Q:昨年、FIMエンデュランス・ワールドカップで優勝したことは本当に素晴らしいことですが、いつか卒業して、昔のチームメイト同様に、フォーミュラEWCクラスにステップアップしたいと考えている?
「それは僕の夢だし、フォーミュラEWCクラスのマシンスペックはより高いから、面白いことは明らかなんだ。僕は、2020年にYARTのリザーブライダーとして彼らのヤマハに乗ったことがあるから、フォーミュラクラスのマシンがどのようなものかは、すでに経験済みなんだ。もちろん、将来的にチャンスがあれば、挑戦してみたいとは思っているけどね。正直なところ、いつでもステップアップしたいと思っているよ。」
Q:今年、タイトルを防衛することに、プレッシャーを感じている?
「プレッシャーはないかもしれないけど、もちろん、それが目標なんだ。24時間レースでは何が起こるかわからないけど、もちろんタイトルを防衛することが目標であり、そのためにはできることはすべてやるつもりだよ。」
Q:あなたとチームは昨年、素晴らしい結果を残したが、今シーズンへの改善の余地はある?
「冬の間、チームは非常にモチベーションが高くて、去年から常に改善してきて、決して立ち止まることはなかったと聞いているよ。去年のバイクは素晴らしかったけど、チームも完璧でなかった部分について試行錯誤して改善しようとしてくれたはずだよ。」
Q:スーパーストッククラスの競争力はどの程度なのか?
「正直なところ、とても競争力がある。昨年すでに、ラップタイムの差も含めて、とても接近したレースが展開されていることがわかるからね。ダンロップが単独タイヤサプライヤーであることは、誰にとっても同じような、あるいはできるだけ公平なものにするという意味で、とても良いコンセプトだと思う。より多くの人、より多くのライダーが参戦して、チャンピオンシップを盛り上げてくれたから、今年は、さらに強力なものになると期待しているんだ。IDMシリーズの仲間を見ても、EWCに参戦するライダーがどんどん増えているし、本当に面白いシーズンになると思っているよ。」
Q:IDMの話が出ましたが、EWCシーズンと並行して、BCC-α-Van Zon-BMWチームとのプログラムも充実していますよね?
「チームのボスであるワーナー・デーメンは以前から知っているし、EWCのパドックでも時々話をしているんだ。ヤマハからBMWへ、そして選手権から選手権へとバイクを乗り換えることになるけど、それはとても良い経験になると思うし、両方のバイクからいろいろ学ぶことができると思っているよ。IDMでは、ピレリタイヤが単独サプライヤーとなっているから、それに適応するのは大変かもしれないけど、良いチームだし、僕にとっても良いチャンスなんだ。」
Q:そして、レースに出ることは常に良いことなんですよね?
「もちろん。バイクに乗り、いつでもその感覚を味わうことができるのは最高のトレーニングになるんだ。どんなマシンでも、どんなタイヤでも、何もしないよりはマシだし、2つのチャンピオンシップを経験することで、より多くの時間をトラックで過ごすことができる。プレッシャーもあるし、外での仕事もあるから、いつも楽というわけではないけど、それだけの価値はあるよ。」
Q:本業は何?
「自分の会社を経営しているんだ。父がこの会社を作って、僕が引き継いだんだ。かなり忙しいけどね。ただ、僕がいない間は、父が会社を切り盛りしてくれるから、休みを取ることはできるんだ。時間がないというのはあまり問題ではないんだけどね。少しだけど常に仕事のことを考えているし、誰かしら電話してくるんだ。僕たちは、食品業界を中心に、電気、オートメーション、ソフトウェアなどのオートメーション事業を展開しているんだ。」
Q:ということは、あなたは速いレーサーであると同時に、かなり賢い人なのですね!
「それは分からなけど、そうなろうと努力はしているよ。でも、忙しい毎日であることは間違いないけどね。」
Q:4月のル・マンでのEWC開幕戦まで、どのようなスケジュールですか?
「3月にはアルカラスでテストがあり、中旬には同じくスペインでIDMチームとのテストがあるから、いよいよ本格的に始動する感じだね。3月中旬のスペインでのテストから、耐久チームと直接ルマンの事前テストに行く予定なんだ。事前テストの後は、2週間ほど休んで、ルマンでシーズン開幕を迎えるから、それからは忙しくなるね。」
Q:トレーニングはどのくらいしている?
「できるだけトレーニングするようにしているよ。朝、仕事の前にトレーニングをして、午後か夕方に2回目のトレーニングをやっているんだ。僕は背が高くて、筋肉が多いから、いつも体重に気をつけなければならないんだ。だから、自転車に乗るトレーニングと持久的なトレーニングに時間を多く費やしているんだ。それに、僕は健康維持のために多くのことをしているんだ。毎日、休みがなくても何かしらしているんだ。」
Q:キャリアの中で最も刺激を受けたのは誰?
「マルク・マルケスは本当に刺激的だった。彼は、見せているものが最高なのはもちろん、精神的にも、夢のために何をするべきか、別次元のものだと思っている。」
FIM世界耐久選手権2023年シーズン・レーススケジュール最新版
第1戦(開幕戦):ルマン24時間レース(フランス、ルマン、ブガッティ・サーキット)2023年4月13日〜16日
第2戦:スパ24時間EWCレース(ベルギー、スパ・フランコルシャン・サーキット)2023年6月16日〜18日
第3戦(最終戦):ボルドール24時間レース(フランス、ポール・リカール・サーキット) 2023年9月14日〜17日
フィリップ・スタインマイヤー選手について:https://www.fimewc.com/driver/philipp-steinmayr/