モストでの未だかつてないタイトル争い
10月9日(土)に開催されるFIM EWC2021年シーズン最終戦、モスト6時間レースには、多くの未知の話題がある。ファクトリーチームとプライベートチームによるチャンピオンタイトル争い、EWCとスーパーストック両クラスの準チャンピオン決定戦、そしてチェコの新しい世界耐久サーキットの登場などである。
2021年FIM EWCのタイトル争いは、16度のタイトルを持つファクトリーチームと、毎シーズン着実に順位を上げてきたプライベートチームとの間で予想外でスリリングな戦いが繰り広げらそうだ。
日本のチームのYoshimura Suzukiと、Suzuki Endurance Racing Teamが2021年に提携を発表し、誕生したのがYoshimura SERT Motulだが、このチームはただ単なる新しいチームではない。鈴鹿8耐で4度の優勝を誇り、日本を代表するチームのヨシムラと、16度の世界タイトルを持ち、現役チャンピオンでもある耐久レーススペシャリストチームのSERTという、耐久史上最強の2チームの名が組み合わされているのだ。
2021年タイトル獲得を懸け、唯一Yoshimura SERT Motulに対抗できる位置に存在するのが、ヤマハプライベートチーム、VRD Igol Experiencesだ。VRD Igol Experiencesは、パフォーマンスを重視したまとまりのあるチームの良い例で、2016-2017年のFIMスーパーストック・ワールドカップで優勝した後、EWCクラスで3シーズン目を現在戦っている。
チャンピオン vs チャレンジャー
ブリヂストンを装着したスズキファクトリーチームマシンのシートには、グレッグ・ブラック選手、ザビエル・シメオン選手、ザビエル・シメオン選手の3人のライダーが座り、2位までのポイント差の36ポイントをさらに広げようと集中している。そのリードに加え、このチャンピオンチームの経験値とパフォーマンスレベルを考慮した場合、挑戦者がつけいる隙などないと言えるだろう。
しかし、何が起こるかわからないのが耐久レースだ。フロリアン・アルト選手、フロリアン・マリノ選手、ニコ・テロール選手のライダートリオは、ダンロップを装着したヤマハマシン#333のシート上で、そのわずかな勝利へのチャンスを掴むために尽力するだろう。
Yoshimura SERT Motulは、今季3戦中2勝を挙げているが、ポルトガルでは他のファクトリーチーム同様、不運に見舞われた。VRD Igol Experiencesは、これまでの3戦で少しでも多くのポイントを獲得するために試行錯誤を繰り返してきた結果、初のワールドタイトル獲得という可能性まで掴んだのだ。
しかし、VRD Igol Experiencesは、今シーズンを勝利で締めくくり、世界ランキングの上位獲得を考えている3つのファクトリーチームとも戦わなければならない。エストリルで優勝したものの、ボルドールではリタイアしてしまったF.C.C. TSR Honda FranceとVRD Igol Experiencesの差はわずか16ポイントでそのすぐ背後につけている。さらに、同じくボルドールでリタイアしたWebike SRC Kawasaki France TrickstarとBMW Motorrad World Endurance Teamが僅差でそれに続く。
もうひとつの注目すべきチームは、ボルドールで2位となったヤマハプライベートチームのMoto Ainだ。総合順位は現在6位。ドイツのMotobox Kremer、ボルドールでリタイアしたものの確実にレベルアップを見せるドゥカティファクトリーチームのERC Endurance、アンソニー・ウエスト選手を率い、進歩を続けているMaco Racing Team、そして、YART-Yamaha Official EWC Teamの前にいる。現在、世界ランキング10位だが、テストやレース序盤では常にトップに絡む展開をみせているYART-YAMAHA Official EWC Teamは、今シーズン初の表彰台を目指す。
佳境のスーパーストッククラス
スーパーストッククラスではすでにBMRT 3D Maxxess NeversがFIM耐久ワールドカップを獲得しているが、2位以下の争いはまだ熾烈を極めている。準チャンピオンの座に最も近いチームは、現在、クラス順位2位で、今シーズン、スーパーストックの表彰台に立つ機会が多かったイタリアのNo Limits Motor Teamだ。また、Falcon RacingやTeam 18 Sapeurs-Pompiers CMS Motostoreもチェコで上位に食い込めば、準優勝を獲得する可能性を持っている。
公式フリー走行と公式予選は、10月7日(木)9:00(中央ヨーロッパ夏時間、以下CEST、日本時間:同日16:00)からモストで行われる。そして、2021年FIM EWC最終戦となるモスト6時間レース決勝は、FIA WTCRも併催される今週末の10月9日(土)11:00(CEST、日本時間:同日18:00)にスターティングフラッグが振られる。