レース直前解説:全タイトル決定戦となったボルドール24時間レース

2022-09-17T05:10:33+02:002022年9月9日|2022|

FIM世界耐久選手権2022年シーズンは、来週(9月15日〜18日)ポール・リカール・サーキットで開催される伝説的な耐久レース、ボルドール24時間レース第100回記念大会で終焉を迎え、そこでは壮大なタイトル決定戦が行われることとなった。

FIM EWCの規則で、最終戦では獲得ポイントが1.5倍となるため、最大で85ポイントを獲得することが可能である。つまり、EWCフォーミュラクラスの7チームがFIMチーム世界耐久選手権を、スーパーストッククラスの12チームがFIM耐久ワールドカップを制覇できることになり、今期のEWCは予測がつかないシーズンとなった、

ボルドール24時間レースは、波乱の開幕戦となったルマン24時間レース、2戦目のスパ24時間EWCレース、そして先月行われた鈴鹿8耐に続くEWC2022年シーズンの第4戦目にあたり、シーズン最終戦となる。

ボルドール24時間レースは、国際的なモーターサイクルレースで最大かつ最も権威のあるレースのひとつであり、南フランスのポール・リカール・サーキットに何千人ものファンが集まり、ライダートリオを率いる43チームが栄光をかけ熱い戦いを繰り広げる、今回のボルドール24時間レースでは、さまざまなタイトル争いが展開される予定だ。

FIM世界耐久選手権のチームタイトルとメーカータイトル、FIM耐久ワールドカップのチームタイトルとメーカータイトル、そしてEWCフォーミュラクラスタイトルとスーパーストッククラスチームが参加するEWCインデペンデント・トロフィーが争われる。
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今大会には、イタリア人ライダーのニッコロ・カネパ選手(YART – Yamaha Official Team EWC)、スペイン人ライダーのデビッド・チェカ選手(ERC Endurance-Ducati)、フランス人ライダーのジェレミー・ガルノニ選手(BMW Motorrad World Endurance Team)、オーストラリア人ライダーのジョシュ・フック選手(F.C.C. TSR Honda France)、イギリス出身でフランス人ライダーのグレッグ・ブラック選手(Yoshimura SERT Motul)など10人のボルドール24時間レース優勝経験ライダーが出場する予定だ。MotoGPやスーパーバイク世界選手権出場の経験を持つライダーとしては、チャズ・デイビス選手、ランディ・ド・プニエ選手(Webike SRC Kawasaki France)、レオン・ハスラム選手(TATI Team Beringer Racing)、アイザック・ビニャーレス選手(Moto Ain)らが挙げられる。
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2022年9月17日(土)15:00(中央ヨーロッパ時間、以下CET、日本時間:同日22:00)にスタートするボルドール24時間レース第100回記念大会に向けて、9月15日(木)から走行練習や公式予選が行われ、EWCライダーとそのチームにとって充実したスケジュールが開始される。

今回のボルドール24時間レースは、記念すべき第100回大会となるため、各種のイベントが開催されるほか、ファン向けにコース外のアトラクションも多数用意されている。チケットは絶賛発売中。詳細はこちら.

概要
レース正式名称:ボルドール24時間レース第100回記念大会
EWCレース:FIM世界耐久選手権2022年シーズン全4戦中第4戦
開催日:2022年9月15日-18日
開催場所:フランス、ポール・リカール・サーキット
コース全長:5.674キロメートル
決勝レース開始時間:9月17日(土)15:00(CET、日本時間:同日22:00)
EWC予選ラップタイムレコード: 1分52秒374(Yoshimura SERT Motul、ザビエル・シメオン選手、2021年大会)
EWC決勝レースラップタイムレコード:1分53秒707(TATI Team Beringer Racing、アラン・テッカー選手、2021年大会)

300文字でわかるポール・リカール・サーキット
ポール・リカール・サーキットは、全長が最短826mから最長5861mまで167通りのレイアウトを選択でき、バラエティに富んだサーキットである。このコースは、主に二輪や四輪レースに使用され、ラリーも開催されることがある。1970年に開業し、1999年、大規模な改修工事のために閉鎖され、2002年にポール・リカール・ハイテク・テスト・トラックとして再オープンした。2009年にレースが復活し、ボルドール24時間レースはヌヴェール・マグニクール・サーキットでの長期開催時期を経て、2015年、このコースに復活している。このサーキットでは、2022年まで17回にわたってF1フランスGPが開催されていた。

ボルドール24時間レースの豆知識
※ボルドールは1922年にボージュール、クリシー=ス=ボワ、リブリ=ガルガンの間の未舗装路を走る5kmのサーキットで初めて開催された。
※当時は1台のバイクに1人のライダーしか乗れず、給油以外の停車は禁止されており、完全なレースというよりは生き残りを賭けたものだった。
※モトサコッシュに乗るスイス人ライダーのトニー・ジンド選手が、初代チャンピオンだった。彼は平均時速51.9kmで1246km近くを走り、バイク上で飲食をしながら競技を行った。
※トニー・ジンド選手が使用したゼッケンナンバー#37は、今年のボルドールでは、BMW Motorrad World Endurance Teamが使用する。
※ボルドール24時間レースは2022年に記念すべき100回目大会を迎えるが、ポール・リカール・サーキットで開催されるのは今年で29回目、第85回大会となる。

近年の優勝チーム(ライダー)
2021:Yoshimura SERT Motul(グレッグ・ブラック選手、ザビエル・シメオン選手、シルバン・ギュントーリ選手)、704周
2019:Suzuki Endurance Racing Team(ヴァンサン・フィリップ選手、エティエンヌ・マッソン選手、グレッグ・ブラック選手)、313周
2018:F.C.C. TSR Honda France(フレディ・フォーレイ選手、ジョシュ・フック選手、マイク・ディ・メリオ選手)、698周
2017:GMT94 Yamaha(デビッド・チェカ選手、ニッコロ・カネパ選手、マイク・ディ・メリオ選手)、683周
2016:Suzuki Endurance Racing Team(アンソニー・デルハール選手、ヴァンサン・フィリップ選手、エティエンヌ・マッソン選手)、687周

EWC2022年シーズンの新展開
FIM世界耐久選手権2022年シーズンの変更点の概要は以下の通りだ。

※スパ24時間EWCレースが新たにEWCスケジュールに追加されたことにより、同選手権のシーズンには、24時間レースが3戦開催されることになる。
※ダンロップ・スーパーストック・トロフィーとは、ダンロップとのスーパーストッククラス単独タイヤサプライヤー契約の一環として、スーパーストッククラスに参戦する選手を表彰するものである。
※予選の結果は、最速タイムを記録した2人のライダーの平均タイムに基づく(第4ライダーの結果は考慮されない)。以前は3人のライダーの平均タイムが採用されていた。
※各カテゴリーで最速タイムを記録したチームから108%以内のタイムであることする。
※2022年(移行年)から2031年までのFIM世界耐久選手権およびワールドカップにおいて、Stäubliは、FIM公認燃料クイックチャージャーシステムの単独サプライヤーとなる。2022年では、公認燃料クイックチャージャーシステムの使用が義務付けられていないが、2023年からの同システムの使用義務化に備え、装備を整えたいすべてのチームに販売または貸し出すことが可能である。

85という特別な数字
今回のボルドール24時間レースはFIM世界耐久選手権の最終戦となるため、最大85ポイントが争われ、7チームがタイトルをかけて戦う。

ライダー達のコメント

グレッグ・ブラック選手、フランス(Yoshimura SERT Motul, Suzuki、スズキ GSX-R1000R)
「目標は年間チャンピオンになることなんだ。だからそのためにいかにレース中に必要なポイントを獲得するかなんだ。もし、レース中で3位を走行していたとしても、それがタイトルを獲得するのに十分なポイントであれば、3位でフィニッシュするよ。もしもタイトル獲得のために、2位でゴールする必要があったり、前のマシンを追い抜く必要があるなら、もちろんそれを狙いに行くよ。状況次第なんだ。僕たちはライダーとしても、チームとしても、頭を使って、その時の状況に対応する方法を知っているし、ずっとそうしてきたからね。だから、自分たちの仕事に集中し続けることが必要なんだよ。僕達はルマンでは速かったし、それをスパでも続けて、鈴鹿でもそれができた。だから、ポール・リカールでも十分勝てると確信しているよ。トップ3でゴールすることが僕たちのメインの目標なんだけど、あまりリスクを冒さないでレースに勝てるなら、そうすると思うよ。」

デビッド・チェカ選手、スペイン(ERC Endurance-Ducati, Ducati Panigale、ドゥカティ パニガーレV4 R)
「僕は、表彰台獲得だって不可能ではないと思っているよ。ペースも良いし、以前よりずっと良くなっているからね。それにタイヤも良くなっているから可能性はあるんだよ。耐久レースでは何が起こるかわからないけど、資料上では、僕は表彰台獲得を前向きにとらえているんだ。でもどうなるかね。確かに今年は難しかったね。」「良い年ではあったけど、ルマンではちょっとしたクラッシュがあったり、スパではトラブルがあったり、結果的にはそうではなかったね。でも、チームのみんなは本当によく働いてくれて、モチベーションが高く、良い結果を出すためにありとあらゆることをやってくれるんだ。だから、僕が上位の結果を残せれば、それは彼らのためにもなると思うんだ。」

ジェレミー・ガルノニ選手、フランス(BMW Motorrad World Endurance Team、BMW M1000RR)
「ポール・リカール・サーキットはシーズン中でも特に好きなコースなんだ。本当に高速だからね。24時間レース中、時速220kmで2kmのストレートを走り続けなければいけないから、エンジンにとっては、最も過酷なサーキットだと思うよ。BMWのために完走できれば最高だし、優勝の可能性だって十分にあると思っているんだ。スパでは勝てることを証明したけど、最終的には24時間を走り切れていなくて、22時間にも満たなかったんだ。でも、24時間を途切れることなく走れることを願っているし、完走できると思っている。マニクールで開催されたボルドールでは優勝しているけど、ポール・リカールでは完走すらしていないんだ。だから今年はいい年にしたいと思っているだよ。あまり知られていないんだけど、100年前のボルドールで優勝したのは#37マシンだったんだよ。100年後のレースで優勝がもしも僕たちだったらと思うとワクワクしない?」

フロリアン・マリノ選手、フランス(Webike SRC Kawasaki France、カワサキ ZX-10RR)
「このレースは、長いストレートを全開で24時間も走らなければならないから、マシンにとってはとてもタフなレースなんだよ。このコースは、流れに乗ってしまえばそれほど難しいコースではないんだけれど、ミストラル(フランスで言うところの風)を理解して、ブレーキングポイントをどこにするかちぇっぅする必要があるんだよ。ドライコンディションなら何とかなるかもしれなけど、風がどのように自分に影響するかを理解する必要があるんだけど、これは経験によるところが大きいんだよね。僕はレースへの準備はできているんだけど、首を鍛えるためにジムに通って、少し鍛えるつもりなんだ。長い直線と風によって、首にかなりストレスが掛かりそうだからね。でも、このコースはオーバーテイクする場所がたくさんあるから楽しいし、レースにはもってこいなんだ。」

エルワン・ニゴン選手、フランス(Viltaïs Racing Igol、ヤマハ YZF-R1)
「ボルドール24時間レースはみんなのためのレースだからね。特別なものなんだよ。天候も特別で、とても暑くなることもあるし、ポール・リカールはとてもいいコースなんだ。それに、今シーズンの最終戦ということもあって、みんなのモチベーションも高いんだ。トップ5圏内を狙っていくよ。もちろん、スピードと耐久性を上げたり、レースに向けて集中力を持続させる必要があるんだけど、チームとして頑張るよ。先月の鈴鹿でのレースは、自分のリズムを保つためには良かったが、このレースに参加しなかった他のライダーたちに対しては、それほどアドバンテージがあったとは言えないんだ。マシンもタイヤもチームも違うし、もちろんコースもまったく違うのだからね。」

アラン・テッカー選手、フランス(F.C.C. TSR Honda France、ホンダ CBR1000RR-R)
「F.C.C. TSRとHonda France、そして新しいチームメイトと一緒にここにいることができて、とても嬉しく思っているんだ。テストは完璧にうまくいったよ。ジョシュのことはよく知っているし、マイクのことも分ってきているからね。この最後の重要なレースに向けて、一緒に協力し合って準備してきたんだ。だから、ボルドール24時間レース第100回記念大会が待ち遠しいんだよ。」

レーススケジュール
FIM EWCの主要なタイムスケジュールは、以下の通りだ(CET)。
9月15日(木)
08:50-10:50:フリー走行
14:50-15:10:予選1回目(ブルーライダー)
15:20-15:40:予選1回目(イエローライダー)
15:50-16:10:予選1回目(レッドライダー)
16:20-16:40:予選1回目(グリーンライダー)
20:30-21:30:夜間走行練習

09:55-10:15:予選2回目(ブルーライダー)
10:25-10:45:予選2回目(イエローライダー)
10:55-11:15:予選2回目(レッドライダー)
11:25-11:45:予選2回目(グリーンライダー)
11:55頃:予選終了後記者会見

9月17日(土)
08:30-09:15:ウォームアップ走行
15:00:ボルドール24時間レース第100回記念大会、決勝スタート

9月18日(日)
15:00:ボルドール24時間レース第100回記念大会、終了
15:30頃:レース終了後記者会見

ライブタイミングと結果
EWC結果
https://www.its-results.com/ewc/2022/6df77950-93b0-469a-95dd-5a6bd78013d5
EWCライブタイミング
https://www.its-live.net/#/live/ewc/2022/boldor

暫定順位
FIM EWCの暫定ランキングはこちら。 EWCポイントの獲得方法についてはこちら

最終エントリーリスト
最終的なエントリーリストは、レース直前にFIMEWC.comで発表される予定だ。
暫定エントリーリストはこちら.