予選レポート:BMW、ボルドールポールを獲得、EWCタイトル獲得に自信
BMW Motorrad World Endurance Teamは、FIM世界耐久選手権最終決戦をEWC初のポールポジションからスタートすることになり、タイトル獲得に向けてさらに弾みをつけた。
BMW Motorrad World Endurance Teamは、FIM世界耐久選手権最終決戦をEWC初のポールポジションからスタートすることになり、タイトル獲得に向けてさらに弾みをつけた。
このベルギーチームは、今週末のボルドール24時間レース第100回記念大会でFIM EWCチームの栄冠を獲得できる可能性を秘めている5チームのうちの1つである。また、このチームのポール・リカール・サーキットでの活躍により、EWC2022年シーズンで3つのポールポジション獲得チームが誕生したことになり、EWCがいかに大きく広がったイベントであるかを意味している。
木曜日の予選1回目と本日の予選2回目における各チームの最速ライダー2名の平均タイムによって結果が決まるが、南仏ではダンロップを装着したBMW M1000RRのマーカス・リーターベルガーとイリヤ・ミハルキックのセッショントップラップが決定的なものとなっている。
スターティンググリッドは木曜日の予選1回目と本日の予選2回目における各チームの最速ライダー2名の平均タイムによって決まるが、南フランスのポール・リカール・サーキットでダンロップを装着したBMW M1000RRのシートに座るマーカス・ライターバーガー選手とイルヤ・ミハルチク選手がそれぞれのセッションでトップラップタイムを記録したことが決め手となった。一方、ウクライナ人ライダーのイルヤ選手は、衝撃的な1分51秒641というベンチマークを記録し、ポール・リカール・サーキットのEWC最速ライダーとなった。BMW Motorrad World Enduranceのデータでは、イルヤ選手の最高速度は名物のミストラル・ストレートで342km/hに達したことが確認されている。
2晩手からスタートするYART – Yamaha Official Team EWCは、合計タイムで、3戦を終えてF.C.C. TSR Honda Franceを抑えてEWCチームランキングトップを走るYoshimura SERT Motulの前、2晩手からスタートする。
ダンロップがサポートするスーパーストッククラスでは、Wójcik Racing Teamが6月のスパ24時間EWCレースに続き、FIM耐久ワールドカップで2戦連続のポールポジションを獲得した。Team 18 Sapeurs Pompiers CMS Motostoreが2位、National Motos Hondaが3位に位置づける。
EWCポールポジション獲得までの軌跡
木曜日に行われたチャージング・ランをきっかけ調子を上げたBMW Motorrad World Endurance Teamのマーカス・ライターバーガー選手は今朝、ブルーライダーセッションで1分51秒693のベストタイムを叩き出した。YART-Yamaha Official Team EWCのニコロ・カネパ選手がマーカス選手に0.249秒差で2位を獲得し、Yoshimura SERT Motulのグレッグ・ブラック選手が1分52秒068のタイムを記録し、3位に着けた。そして、F.C.C. TSR Honda Franceのジョシュ・フック選手が1分52秒155で4位、初のポール・リカール・サーキット、初の24時間レースに参戦するTATI Team Beringer Racingのレオン・ハスラム選手は、1分52秒420で5位となった。Team Moto Ainのアイザック・ビニャーレス選手は52秒746を記録し、Viltaïs Racing Igolのフロリアン・アルト選手(1分52秒881)、ERC Endurance-Ducatiのチャズ・デイビス選手(1分53秒284)、Wójcik Racing Teamのダン・リンフット選手(1分53秒524)、Webike SRC Kawasaki Franceのランディ・ド・プニエ選手(1分54秒782)と続いている。スーパーストッククラスでは、1回目の予選と同様、Wójcik Racing Teamのケビン・マンフレディ選手が1分54秒788のトップタイムで20分の予選セッションを終了した。続いて、Team 18 Sapeurs Pompiers CMS Motostoreのヒューゴ・クレア選手が1分54秒974を記録した。
イエローライダーセッションでは、BMW Motorrad World Endurance Teamのイルヤ・ミハルチク選手が1分51秒641で、YART Yamaha Official Team EWCのマービン・フリッツ選手より0.183秒速いタイムを記録した。3番手には渡辺 一樹選手(YOSHIMURA SERT MOTUL)が1分52秒508で、4番手にはフランスの若手、コランタン・ペロラリ選手(Team Moto Ain)が1分52秒898で続いた。F.C.C. TSR Honda Franceのマイク・ディ・メリオ選手(1分52秒953)は、ERC-Endurance Ducatiのシャビ・フォレス選手(1分53秒189)を抑えて5位を獲得した。Wójcik Racing Teamのシェリダン・モライス選手が1分53秒461で続き、4度のボルドール優勝を誇るTATI Team Beringer Racingのグレゴリー・ルブラン選手が1分53秒684で8位となった。Viltaïs Racing Igolのエルワン・ニゴン選手(1分53秒917)、Webike SRC Kawasaki Franceのエティエンヌ・マッソン選手(1分54秒043)がこれに続き、トップ10に入った。スーパーストックでは、ダニー・ウェッブ選手(Wójcik Racing Team)が1分54秒952を記録し、Team 18 Sapeurs Pompiers CMS Motostoreのバティスト・ギテ選手を抑えてトップを獲得。MACO Racingのヤマハマシン #14を駆るエンツォ・ブーロム選手のクラッシュにより、セッションは一時赤旗中断となった。しかし、その後、このフランス人選手はメディカルチェックを受け、問題なしと判断された。
今シーズンのEWCで2度ポールポジションを獲得しているYART – Yamaha Official Team EWCのカレル・ハニカ選手は、センサーの問題に悩まされながらもレッドライダーセッションで1分52秒100のベストラップを記録。BMW Motorrad World Endurance Teamのジェレミー・ガルノニ選手が0.709秒差で2位、Webike SRC Kawasaki Franceのフロリアン・マリノ選手(1分52秒995)が3位を獲得した。Yoshimura SERT Motulのシルバン・ギュントーリ選手が1分53秒188で4位、アラン・テッカー選手(F.C.C. TSR Honda France)が5位(1分53秒428)、Team Moto Ainのクラウディオ・コルティ選手が1分53秒954で6位、TATI Team Beringer Racingのバスティアン・マッケルズ選手が1分54秒129で7位となった。Wójcik Racing Teamのマチュー・ギネス選手(1分54秒460)が8位、Viltaïs Racing Igolのスティーブン・オデンダール選手が1分54秒474を記録し、9位、ERC Endurance-Ducatiは、デビッド・チェカ選手(1分54秒726)がトップ10に入った。。RAC41-Chromeburnerのウェイン・テッセルズ選手がスーパーストッククラス最速タイムを記録し、フィリップ・スタインマイヤー選手(Team 18 Sapeurs Pompiers CMS Motostore)がそれに続いた。
グリーンライダーセッションでは、YART – Yamaha Official Team EWCのロビン・ムルハウザー選手が1分54秒217を出し、リザーブライダーとして最速タイムを記録した。2位にはYoshimura SERT Motulのクリスチャン・イドン選手が入り、ケニー・フォレイ選手(BMW Motorrad World Endurance Team)、ジェームス・ウェストモアランド選手(Viltaïs Racing Igol)、3月のルマン事前テスト以来のEWC参加となるロレンツォ・ザネッティ選手が続く。イタリア人ライダーのロレンツォ選手は、ERC Endurance-Ducatiの一員としてEWCをフルシーズン戦う予定だったが、開幕戦のルマン24時間レース前にイタリアでのレースで転倒し、重傷を負った。Wójcik Racing Teamの若きハンガリー人ライダー、バリント・コヴァーチ選手は、Team LH Racingのヒューゴ・ロバート選手を抑えてスーパーストックの最速ライダーになった。
予選1回目のまとめ:BMW マーカス・ライターバーガー選手が支配
ベルギーのBMW Motorrad World Endurance Teamに所属するマーカス・ライターバーガー選手が、今朝行われた非公式プライベート練習走行での好調さを引き続き見せ、最速ラップを記録した。公式予選第1回目では、BMW Motorrad World Endurance Teamのライダーが4セッション中3セッションを制し、その強さを見せつける結果となった。
FIM世界耐久選手権で2度の優勝を誇るドイツ人ライダーのマーカス選手は、ブルーライダーの中で最速の1分52秒267を記録し、F.C.C. TSR Honda Franceのジョシュ・フック選手が1分52秒511で2番手、YART – Yamaha Official Team EWCのニッコロ・カネパ選手が1分52秒925で3番手と続いた。今回が24時間レース初参戦で、ポール・リカール・サーキット未経験のTATI Team Beringer Racing所属のレオン・ハスラム選手は、1分53秒117で4番手、終盤に猛チャージを仕掛けたWebike SRC Kawasaki Franceのライダー、ランディ・ド・プニエ選手は、1分53秒191というタイムを記録し、Viltaïs Racing Igolのフロリアン・アルト選手を抜いて5番手に浮上した。スーパーストッククラスでは、Wójcik Racing Teamのイタリア人ライダー、ケビン・マンフレディ選手が1分54秒674というこのクラス最速タイムを記録。このタイムは、National Motos Hondaのセバスチャン・スエット選手を0.337秒上回り、ポール・リカール・サーキットのエキスパートとしての強さを見せつけた。
イエローライダーのセッションでは、ダンロップタイヤを使用するBMW Motorrad World Endurance Team所属のウクライナ人ライダー、イルヤ・ミハルチク選手が最初のセッションでの好調さを引き継ぎ、1分52秒415というトップタイムをマークした。F.C.C. TSR Honda Franceのマイク・ディ・メリオ選手が1分52秒630で2位に、3位には1分53秒307を記録したYART – Yamaha Official Team EWCのマービン・フリッツ選手が入った。ERC Endurance-Ducati所属のシャビ・フォレス選手は、転倒を喫したものの、1分53秒470を記録し、Wójcik Racing Teamのシェリダン・モライス選手が記録した1分53秒642を抑え、4番手となった。Webike SRC Kawasaki Franceのエティエンヌ・マッソン選手は1分53秒747で6位。一方、ブルーライダーのセッションでアイザック・ビニャーレス選手が7番手タイムを記録したフランスのトッププライベートチーム、Moto Ainは、イエローライダーセッションでもコランタン・ペロラリ選手が同位となる1分53秒789をマーク。MACO Racingのエンツォ・ブーロム選手は10位となった。National Motos Hondaのバレンティン・スエット選手は、Wójcik Racing Teamのダニー・ウェッブ選手を抑え、スーパーストッククラスの最速クラスを記録。前セッションから順位を入れ替える形となった。Pitlane Endurance Yamahaのエイドリアン・パラッソル選手は、転倒を喫したものの、ケガはない模様だ。
ルマン24時間レースとスパ24時間EWCレースのポールシッターであるYART – Yamaha Official Team EWCのチェコ人ライダー、カレル・ハニカ選手は、レッドライダーセッションで最速タイムを出し、BMWによる全セッショントップ独占を防いだ。ブリヂストンタイヤを使用するカレル選手は、1分52秒914を記録し、BMW Motorrad World Endurance Teamのジェレミー・ガルノニ選手のタイムを0.044秒上回った。3番手には、負傷したジノ・レイ選手に代わってF.C.C. TSR Honda Franceに復帰したアラン・テッカー選手(1分53秒159)、4番手にはWebsike SRC Kawasaki Franceのフロリアン・マリノ選手(1分53秒190)が入った。鈴鹿とスパ・フランコルシャンのレースをそれぞれ怪我で欠場したシルバン・ギュントーリ選手とバスティアン・マッケルズ選手がEWCで復活を遂げた。FIM世界耐久選手権2022年シーズンのトップを走るYoshimura SERT Motulのスズキマシン #1を駆るシルバン選手は5番手、カワサキマシンを駆るTATI Team Beringer Racingのバスティアン選手が7番手となった。しかし、シルバン選手が記録した1分53秒616は、Yoshimura SERT Motulのライダートリオの最速タイムではなく、ブルーライダーセッションでグレッグ・ブラック選手が記録したセッション8番手となる1分53秒527が最速タイムとなった。フランスを拠点とする日本チーム、Yoshimura SERT Motulの渡辺一樹選手は、イエローライダーセッションで1分54秒071を記録し、9番手となった。その他、レッドライダーセッションでは、Viltaïs Racing Igolのスティーブン・オデンダール選手が6番手、ボルドールで2度の優勝を果たしているデビッド・チェカ選手が8番手に入った。スーパーストッククラスでは、3チームが競い合っていたが、Team 18 Sapeurs Pompiers CMS Motostoreのオーストリア人ライダー、フィリップ・ステインマイヤー選手が最速タイムを記録した。一方、Junior Team LMS Suzukiのシャルル・コルトー選手がT7で転倒したため、コースサイドの安全バリアの修復のためにセッションは赤旗で中断された。
リザーブライダーが出走するグリーンライダーセッションでは、BMW Motorrad World Enduranceのフランス人ライダー、ケニー・フォレイ選手が、1分52秒717の最速タイムを記録した。ロレンツォ・ザネッティ選手(ERC Endurance-Ducati)が2番手に入り、さらに、Yoshimura SERT Motulのクリスチャン・イドン選手、YART – Yamaha Official Team EWCのロビン・ムルハウザー選手、Viltaïs Racing Igolのジェームス・ウェストモアランド選手がこれに続いた。Wójcik Racing Teamの若きハンガリー人ライダー、バリント・コヴァーチ選手は、スーパーストッククラスで最速タイムを記録した。
ライダー達のコメント
フォーミュラEWCクラス、イルヤ・ミハルチク選手(BMW Motorrad World Endurance Team)。
まず最初に、このポールポジションが本当に嬉しい。このポジションを獲得するために長い道のりだったけど、ようやくチームみんなとライダーみんなの努力の結晶を見ることができたよ。昨日も今日も楽しい一日だったよ。混雑のトラブルがたくさんあったけど、僕はみんながいなくなるのを待つというごく普通の戦略で、ほとんど誰もいないコースに出ることができたんだ。序盤はスリップストリームをうまく使うことができたんだけど、その後半はスリップストリームを使わず、ただひたすら走り続けることにしたんだ。たぶんストレートでコンマ数秒遅れた遠むんだけど、その後、第3セクターと最終セクターとかではタイムを稼ぐことができたと思うよ。何周か本当に良いラップができたから、トップタイムでフィニッシュすることができたんだ。
スーパーストッククラス、ダニー・ウェッブ選手(Wójcik Racing Team STK 777)。
「3ヶ月間バイクに乗っていなかったから、慣れるまで時間がかかったんだ。でも昨日、良いセッティングが見つかったから、自信をもって走ることができたよ。夜間練習でも、良い感じで走る方法を見つけたんだ。昨日は渋滞に巻き込まれて、今日はスリップストリームがうまくつかめなかったんだけど、前のライダーを見ることができたので、それが助けになったんだ。でも、チームは素晴らしい仕事をしてくれたね。僕たちは事前テストを行っていなかったから、ここまで早くマシンセッティングを完成させてくれたことに驚いたんだ。今シーズンは、とても不運だったけど、いつも僕らの速さは本物だってことは見せているつもりなんだ。セッティングもいいし、みんな快適に過ごしている。チームみんなが100%の力で働いてくれているから、あとはレースで状況をうまくコントロールして結果を出すだけなんだ。」
公式予選1回目ベストラップタイム
ブルーライダー フォーミュラEWCクラス
マーカス・ライターバーガー選手(BMW Motorrad World Endurance Team)、1分52秒267
ブルーライダー スーパーストッククラス:
ケビン・マンフレディ選手(Wójcik Racing Team)、1分54秒674
イエローライダー フォーミュラEWCクラス:
イルヤ・ミハルチク選手(BMW Motorrad World Endurance Team)、1分52秒415
イエローライダー スーパーストッククラス:
バレンティン・スエット選手(National Motos Honda)、1分55秒259
レッドライダー フォーミュラEWCクラス:
カレル・ハニカ選手(YART – Yamaha Official Team EWC)、1分52秒914
レッドライダー スーパーストッククラス:
フィリップ・ステインマイヤー選手(Team 18 Sapeurs Pompiers CMS Motostore)、1分55秒571
グリーンライダー フォーミュラEWCクラス:
ケニー・フォレイ選手(BMW Motorrad World Endurance Team)1分52秒717
グリーンライダー スーパーストッククラス:
バリント・コヴァーチ選手(Wójcik Racing Team)、1分55秒859
予選2回目ベストラップ
ブルーライダー フォーミュラEWCクラス
マーカス・ライターバーガー選手(BMW Motorrad World Endurance Team)、1分51秒693
ブルーライダー スーパーストッククラス:
ケビン・マンフレディ選手(Wójcik Racing Team)、1分54秒788
イエローライダー フォーミュラEWCクラス:
イルヤ・ミハルチク選手(BMW Motorrad World Endurance Team)、1分51秒641
イエローライダー スーパーストッククラス:
ダニー・ウェッブ選手(Wójcik Racing Team)、1分54秒942
レッドライダー フォーミュラEWCクラス:
カレル・ハニカ選手(YART – Yamaha Official Team EWC)、1分52秒100
レッドライダー スーパーストッククラス:
ウェイン・テッセルズ選手(Team 18 Sapeurs Pompiers CMS Motostore)、1分55秒635
グリーンライダー フォーミュラEWCクラス:
ロビン・ムルハウザー選手(BMW Motorrad World Endurance Team)1分54秒217
グリーンライダー スーパーストッククラス:
バリント・コヴァーチ選手(Wójcik Racing Team)、1分55秒654
予選総合順位はこちら.
次のレースは?
FIM世界耐久選手権2022年シーズンの最終戦となるボルドール24時間レース第100回記念大会は9月17日(土)15:00(中央ヨーロッパ時間)にスタートを切る予定だ。レースの模様をライブ中継するグローバルネットワークの詳細については、こちら