2019-2020 FIM EWCの異例の決断
FIM Endurance World Championshipは、前例のない世界的な健康危機(新型コロナウイルス感染症)を配慮して、レーススケジュールを変更し、参戦チームを守るための措置を講じた。
世界耐久選手権のプロモーターであるEurosport Eventsは、FIM(国際モーターサイクリズム連盟)とともに各国の規制を考慮し、FIM世界耐久選手権スケジュールの改訂を発表した。
現在発令されている都市封鎖、公共の場での集会禁止、および移動制限により、2020年6月6日にドイツで予定されているオッシャースレーベン8時間耐久レースの開催が難しく、中止することとなった。また、日程の変更もしない方針だ。オッシャースレーベン8時間耐久レースは、1999年に世界耐久選手権シリーズに追加され、それ以来、ドイツのモータースポーツファンにとって重要なイベントであった。
よって、2019-2020FIM世界耐久選手権は、2020年7月19日に日本で行われる鈴鹿8耐EWCフォーミュラクラスをもって再開となり、8月29日、30日にEWCフォーミュラチームとスーパーストックチームがフランスに集い、ルマン24時間耐久レースを開催する。
FIMとEurosport Eventsは、2020年9月19日、20日に開催予定のボルドールをシリーズ第5戦に位置づけるとともに最終戦とし、2019−2020年シリーズに組み入れることも決定した。2019年9月にル・カステレで開幕した2019-2020FIM世界耐久選手権は、2020年のボルドールをもって、世界ランキング最終順位を決定することとなる。
FIM、Eurosport Events、及びFIM世界耐久選手権レースの主催者たちは、チームが現在直面している困難に親身に取り組んでおり、コスト削減に対する解決案を提供し、参加チームをサポートするために尽力している。
ルマン24時間レースとボルドールの事前テストは、キャンセルされることとなったが、レースウィークの火曜日と水曜日に行われるフリー走行の時間を延長し、各チームがより長い時間をコースに滞在できるように見直しを計った。
Eurosport Eventsは、ルマン24時間レースとボルドールに参加するファクトリーチーム以外のチームに、マシン1機ごとに€1,500を割り当て、プライベートチームを支援する。
ユーロスポーツイベント責任者、フランソワ・リベイロ氏への質問
– レーススケジュール変更に至った優先事項は何でしたか?
現在、世界は大きな困難に直面しており、社会やすべての公共イベントに前例のない影響を、多くの苦しみとともに与えています。都市封鎖も、スポーツの世界に深刻な影響を与えています。全チームと全ライダーの安全が保証できない限り、レースは開催できません。また、現在の公衆衛生上の緊急事態により、2020年のオッシャースレーベン8時間耐久レースの開催を想定することは明らかに不可能です。よって、オッシャースレーベン8時間耐久レースは、2021年5月20日〜23日に復帰する予定です。2020年8月末にルマン24時間レース開催日を再変更した後、最終戦となるボルドールで素晴らしいレースシーズンになるよう、すべての参戦チームに提案を出しました。長期に渡る都市封鎖とロードレースファンへのフラストレーションを経験した後、ACOとÉditions Larivièreが、ルマンとル・カステレで2つの素晴らしい祭典を企画してくれると確信しています。スケジュール変更により、鈴鹿8耐は世界耐久選手権の最終戦ではなくなります。鈴鹿8耐の主催者であるモビリティランドは、この非常に特殊な状況下でFIM EWC参加者・関係者を保護する、という私たちの優先事項に理解を示してくれました。よって、来シーズンは、セパンから始まり、ボルドールで終わることになります。
– 鈴鹿8耐は、FIM EWCの最終戦ではなくなるということですが、それはこの選手権にどのように影響を与えるでしょうか?
もしも日本で新型コロナウイルス感染症の第2波が発生した場合、外国のチームとライダーがどのようにすればレースに出場できるかを、鈴鹿8耐の主催者と協力し合いながら模索しています。鈴鹿8耐は、最終戦ではなくなるので、1.5倍となるボーナスポイントシステムの起用はなくなります。
– FIM EWCのテレビ放映は新型コロナウイルス感染症の影響を受けますか?
スポーツイベントが夏を超えて延期されると、必然的にテレビ番組のスケジュールに混乱が生じるでしょう。プロモーターとしてのEurosport Eventsは、レース中継のテレビ放映を、Eurosportのネットワークを通して行います。私たちは、最高の放送を提供するために全力を尽くします。
– 世界的な危機によって引き起こされた経済的損失を考慮して、Eurosport Eventsはどのようにチームを援助する予定でしょうか?
私たちは、ACO、およびÉditions Larivièreの協力を得て、チームにかかるコスト負担の削減を支援しています。ボルドールの参加資金援助は、この状況に最も影響を受けやすく、最もサポートを必要としているプライベートチームに送る予定でいます。
FIM会長のホルヘ・ビエガス氏は、こう語った。「私たちは、現在、尋常でない瞬間を生きています。つまり、私たちは、それに相当するような想像を超えた対策を講じる必要があります。私たちにとって最も重要なことは、できる限り早くバイクレースの世界に戻り、FIM世界耐久選手権を再開したい、という望みをしっかりと持ち続けるということだと思っています。この新しい取り組みにより、チャンピオンシップの名にふさわしく、この華々しい奮戦を愛するすべての人々の期待に応えることができると信じて、私たちはEurosport Eventsと協力していきたいと思います!」