F.C.C. TSRがボルドール優勝
最後まで波乱続きとなった2018-2019 FIM EWCの開幕戦は、現王者のF.C.C. TSRホンダ・フランスがYARTヤマハを54秒という僅差で押さえて優勝。ヤマハWepol Racingも表彰台に上がった。
FIM EWC世界耐久選手権のチャンピオンがボルドールで優勝と、新しいシーズンを爽快に滑り出した。F.C.C. TSRホンダ・フランスのフレディ・フォレイ、ジョシュ・フック、マイク・ディ・メグリオ、アラン・テッチャーは、ポール・リカール・サーキットで、YARTヤマハのブロック・パークス、ニッコロ・カネパ、マービン・フリッツを抑えて勝利を獲得。スターティンググリッドではそれぞれ2番手、3番手につけた日本のホンダチームとオーストリアのヤマハチームとの差は、レースを終えてわずか54秒だった。
サプライズの3位に入ったのは、Wepol Racing。2017年のボルドールはBMWに乗り2位に入っているこのPenz13勢は、2018年大会の開幕直前にヤマハにスイッチした。「初めてバイクを見たのは、レース直前の火曜日だった」と、ダニエル・ウェッブ、シェリダン・モライスと#13に乗るマシュー・ラグリーブは語る。
Wepol Racingは、ボリガー・チーム・スイス(カワサキ)のローマン・スタム、ロビン・ミュルヘザー、セバスチャン・スエット、ジョナサン・ヒューゴと、長時間に渡りバトルを展開。そのボリガー・チーム・スイスは、ポディウム1歩手前でのフィニッシュとなった。
耐久戦ではゴールまで戦いは終わらない
スズキ・エンデューランス・レーシングチームは度々首位に立ったが、様々なテクニカルトラブルと、不安定なクラッチに苦戦し、ビンセント・フィリッペ、エティエヌ・マッソン、グレッグ・ブラックは5位でのフィニッシュに留まった。
その他の優勝候補もポディウムを逃しており、その一つがチームSRCカワサキ・フランスだ。ドラマ続きのレース、最後の波乱に見舞われており、ランディ・デ・プニ、ジェレミー・グアルノーニ、デビッド・シェカのカワサキが突然、電子系トラブルに陥ったのだ。夜間と早朝の時間帯には首位にも立っていたチームは、7位でのフィニッシュとなった。
激戦は最後まで続き、序盤5時間は3チームが10秒にひしめきあい、フィニッシュまで3時間となった時点では30秒差でのポディウム争いが展開されていた。絶え間なく首位が入れ替わったレースのフィニッシュでは、トップ6に5つのマニュファクチャラーが食い込んだ。
スーパーストック部門の最上位は総合6位と健闘
EWCクラス同様、スーパーストッククラスのポディウムも、グローバルな顔ぶれとなった。序盤、部門首位に立ったのはチーム33コヨーテ・ルイ・モトだったが、エンジントラブルに見舞われると、チームGERT56がただちに首位に浮上。GERT56 by peedbikes BMWのジュリアン・パッフェ、ステファン・ケルシュバウマー、フィリップ・アルテンドルファーは、今年のボルドールを総合6位でフィニッシュしてみせた。フランス‐日本混合チームのWebike Tati Team Trickstar(カワサキ)は、ジュリアン・エンジョラス、ケビン・デニス、出口修の布陣でスーパーストック部門2位に入った。同チームは2017-2018 FIM スーパーストック・ワールドカップの優勝も飾っている。
イタリアのNo Limits Motor Team(スズキ)は、エディ・デュプイ、ルカ・スカッサ、ミカエル・マッツィナでスーパーストック3位に入った他、レースを通しての決意のこもった戦いに対し、アントニー・デルヘールEWCスピリット・トロフィーも贈られた。
波乱の中、数々の不運も
グリッドの先頭集団からスタートしたチームのすべてが、レースをフィニッシュできた訳ではなかった。ERC-BMWモトラッド・エンデューランスはグリッド4番手からスタートしたが、陽が落ちてまもなくレース2時間台に衝突してクラッシュを喫している。
ホンダ・エンデューランス・レーシングも、日曜日の午前に深刻なエンジントラブルを抱え、レースを終えている。
SETレーシングは、FIM EWCのルーキーの中でも見事なパフォーマンスを見せていた、新たに立ち上がったスウェーデンのチームは、30番手スタートから10番手まで順位を挙げたが、日曜日の昼にエンジン破損でリタイアを余儀なくされた。
ポール・リカール・サーキットに6万9000人の観客
快晴に恵まれたプロバンスの空の下、第82回ボルドールを見守った観客は6万9000人と、2017年大会より1000人も増加した。
2018-2019 FIM EWCカレンダーの次戦は4月20‐21日にル・マンのブガッティ・サーキットで開催されるル・マン24時間となる。