YART ヤマハ: レース参戦とプリペア
FIM世界耐久選手権のサーキットではおなじみのチーム、YART ヤマハだが、オーストリアを拠点とするこのチームは、エンジンチューニングとモーターサイクルレースのプリペアにおけるスペシャリストでもある。マンディ・カインツ率いるチームは、この12月、マレーシアではライバルの一つであるヤマハ・セパン・レーシングのプリペアも担当する。
2019年鈴鹿8時間では総合6位、ヨーロッパチーム最上位でフィニッシュラインを越えたYART ヤマハは、2000年代序盤から見事なパフォーマンスで評価を高めてきた。2009年に初めてFIM EWCのタイトルを獲得した後、2度目のタイトルに向けて挑戦を続けているこのチームだが、今季の開幕戦ボルドールでは、優勝争いに絡んでいる中で、タオルを投げなくてはならなかった。路面に巻かれたオイルでスリップしたロリス・バズがクラッシュしたことで、#7 ヤマハから出火、チームの挑戦が阻まれたのだ。
「ボルドールでの出火で #1バイクを失ったため、YART はセパンに向けて新しいバイクを作らなくてはならなかった」とYART ヤマハのチームマネージャー、マンディ・カインツは語る。
「2019年鈴鹿と同じスペックのバイクでレースをする。ブレーキのセッティングとギアがわずかに違うだけだ。残念ながら、セパンの前にテストを行うチャンスはない」
セパンでは、YART ヤマハは通常のラインナップで登場。ドイツのマービン・フリッツ、イタリアのニッコロ・カネパ、オーストラリアのブロック・パークスだ。9月はアジア・ロードレーシング選手権に参戦するためにチームを離れていたパークスは、現在、この選手権で首位に立っており、セパン・インターナショナルサーキットで2戦を開催しているAPRC戦から、有益な情報を手にしてチームに戻ってくる。
勝つのはベストのチーム!
このオーストリアのチームは、セパン8時間のために多くのバイクをプリペアしている。FIM EWCに参戦するヤマハ勢でも多くが、このワークショップから送り出されており、マレーシアのレースに登場する最も注目を集める一台も含まれている。ヤマハ・セパン・レーシングの#21は、セパン8時間ではYART ヤマハの主なライバルの1つ。フランコ・モルデビリ、マイケル・バン・デル・マーク、ハフィス・シャーリンのラインナップで臨む。
「YARTが鈴鹿で使ったものと同じバイクを、ヤマハ・セパン・レーシングにもプリペアした」とマンディ・カインツ。
「#21のマシンで鈴鹿とセパンで違う点は、電気系のみ。YART は非常に大きな会社なので、2つめのチームのためのクルーや資材を準備することは問題にはならない。特に冬の間は、通常はモトGPやWSBKで活動しているYARTのスタッフはシーズンを終えている。我々YARTにとって、クライアントのチームがいいリザルトを収めるというだけのこと。これまでにも同様のことは経験している(Penz13、Wojcik Racing Teamnado)。だから、ヤマハ・セパン・レーシングが我々を制することになっても、大丈夫。ベストのチームが勝つものなんだよ!」