YART YAMAHA、エストリルで3冠達成、SUZUKI ENDURANCE RACING TEAM、16度目の世界タイトルを獲得
ポルトガルで開催されたエストリル12時間レースは、FIM世界耐久選手権シーズン最終戦の名に恥じない熱いレースとなった。YART Yamahaが、F.C.C. TSR Honda FranceとWójcik Racing Teamを抑え、見事、優勝を果たした。また、Suzuki Endurance Racing Teamは、このレースで表彰台を逃したものの、4位でフィニッシュし、2019-2020FIM EWCチャンピオンの栄冠を手にした。
YART YamahaとF.C.C. TSR Honda Franceは、最後の最後まで激しいバトルを繰り広げた。12時間に及ぶスリリングなレースの末、カレル・ハニカ選手、マービン・フリッツ選手、ニッコロ・カネパ選手を擁するYART Yamahaが、ジョシュ・フック選手、フレディ・フォーレイ選手、マイク・ディ・メリオ選手を擁するF.C.C. TSR Honda Franceをわずか25秒以下という僅差で打ち破り、優勝した。この勝利は、この激しいバトルを繰り広げた2チームのタイヤサプライヤーであるブリヂストンの勝利であるともいえる。
この2チームの戦いは、レース後半戦でも終始繰り広げられた。日本のホンダチームは順風満帆だったのに対し、オーストリアのヤマハチームは、マービン選手のポールポジションからのスタートトラブルやステップバー2本の破損など、いくつかの問題が発生した。今回のレースでは、マービン選手が1分39秒353のファステストラップを記録するなど、YART Yamahaが他のチームを圧倒していた。
ポーランドのプライベートチーム、Wójcik Racing Teamは、表彰台を目指し、レース戦略を練り続けた結果、ジノ・レイ選手、ブロック・パークス選手、シェリダン・モライス選手が見事な走りを見せ、3位を獲得し、エストリルでも表彰台獲得を成し遂げた。最終総合チームランキングでは、ファクトリーチームに挟まれる形で4位を獲得し、今シーズンを終えた。
Suzuki Endurance Racing Team、16度目の世界タイトル獲得
もちろん競争力も持ち合わせているが、世界タイトルを手中に収めるため、丁寧に走り続けたSuzuki Endurance Racing Teamは、ギアセレクターシャフトの警告が2回出るまで上位3位以内で激しいバトルを展開。今回、エティエンヌ・マッソン選手、グレッグ・ブラック選手、ザビエル・シメオン選手が4位を獲得、Suzuki Endurance Racing Teamは、2016年以来16度目となる、そして新監督のダミアン・ソルニエ監督にとって初となるFIM EWCタイトルを獲得した。
もうひとつの偉業は、ファクトリーチームとの12時間に及ぶバトルを経て、5位でフィニッシュしたVRD Igol Pierret Experiencesだ。ヤマハマシン「333」のシートでは、フロリアン・アルト選手、フロリアン・マリノ選手、ニコ・テロール選手が、SRC Kawasaki France TrickstarとBMW Motorrad World Endurance Teamを制し、フィニッシュした。SRC Kawasaki France Trickstarは、チェーンの破損により表彰台を逃した。スタートでトップに立ったBMWファクトリーチーム、BMW Motorrad World Endurance Teamは、クラッシュの影響で順位を落としが、最終的には総合7位まで順位を上げ、チェッカーを受けた。
スーパーストッククラストップチーム、Moto Ainは、LRP Polandと3ART Best of Bikeを抑え、8位でフィニッシュした。
Moto Ain、FIMスーパーストックワールドカップ2連覇
フランスのヤマハチーム、Moto Ainが、Team Aviobike、Wójcik Racing Team 2、JMA Motos Action Bike、No Limits Motor Teamを制し、クラス優勝を果たし、スーパーストッククラスの栄冠をも手にした。
エストリル12時間レース開始から8時間経過時点で、スーパーストッククラスのトップに立っていたMoto Ainは、ボーナスポイントを獲得し、FIM耐久ワールドカップチャンピオンを確実なものにした。しかし、ロベルト・ロルフォ選手、ロビン・ムルハウザー選手、ヒューゴ・クレア選手のライダートリオは、最後までアクセルを緩めることはなかった。Moto Ainは、No Limits Motor TeamとGERT56 by GS Yuasaを抑え、FIM世界耐久ワールドカップ2連覇を達成した。
注目の2チームであったERC Endurance(ドゥカティ)とBolliger Team Switzerland (カワサキ)は、ERC Enduranceは開始から1時間で、Bolliger Team Switzerland は、4時間あたりで転倒を喫し、リタイアを余儀なくされた。
しかし、Bolliger Team Switzerlandのハンスペッター・ボリガー監督には、38年間の耐久レースへの情熱とエストリルでの自身最後のレースを称えられ、アンソニー・デルハールEWCスピリット・トロフィーが授与された。
National Motosは、レース開始から6時間を超えたあたりでエ、ンジントラブルにより順位を落とした。パリのディーラーが所有するホンダプライベートチームのNational Motosは、ステファン・エゲア選手、グイラーム・アンティガ選手の2人だけでトップ15に入る好レースを展開した。